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今城塚古墳発掘調査
(平成17年度、第九次(その2))

今城塚古墳の所在地及びアクセス:

 今城塚古墳」のページを参照してください。

発掘調査が行われた場所など:
第9次(その2)発掘調査箇所
 左のコピー(原形地図は1998年高槻市教育委員会発行「史跡・今城塚古墳」より)は今城塚古墳の第九次(その2)発掘調査場所の図であり、左の図は古墳全体の中で今回該当の発掘調査場所を表したものである。左のコピーでN1、N2、N3はトレンチ番号を表す。なお、参考のため第九次発掘調査区域も記載した。

 なお、第7次以前の発掘調査場所については第七次発掘調査のページを、第八次発掘調査場所については第八次発掘調査のページを、また、第九次発掘調査場所の詳細は第九次発掘調査のページを参照して下さい。
第九次(その2)発掘場所詳細
 第九次(その2)発掘調査は直上のコピー示す通り、古墳内堤の北西隅の部分で外濠に接した個所(N1トレンチ)、内濠近くの個所(N2トレンチ)及び内濠の北西隅の個所(N3トレンチ)の三個所である。

 左のコピーは発掘調査個所の拡大図である。N1及びN2トレンチで緑色のL形の表示は発掘された円筒埴輪列を示す。

 N1トレンチで発掘された円筒埴輪列を外側円筒埴輪列、N2トレンチで発掘された円筒埴輪列を内側円筒埴輪列とする。

第九次発掘調査期間:

 第九次発掘調査は2005年6月27日から開始され、第九次(その2)の現地説明会は2005年12月10日午前10時から行わた。

古墳内堤の北西隅で外濠に接した場所(N1トレンチ):
N1トレンチ円筒埴輪列周辺
 左の写真はN1トレンチで発掘された円筒埴輪列とトレンチの周辺である。写真中央部から左側手前に向かって円筒埴輪列が見られる。写真右側は外濠であり、この円筒埴輪列は内堤上で外濠に接した場所、即ち、内堤から見て外側円筒埴輪列になる。

 内堤の外側裾部が削られている関係から、外側円筒埴輪列の存在がかろうじて確認される状態であるという。
N1トレンチ円筒埴輪列
 左の写真は発掘された外側円筒埴輪列の部分を撮影したものである。発掘された埴輪は底部径約40cmの大型品が多いようであり、この場所から16個の円筒埴輪が発掘されている。

 円筒埴輪列の隅部の角度は約80度であると報告されている。

 内側円筒埴輪列(後述)の埴輪に比べ大型の円筒埴輪が使われているのは、外側円筒埴輪列には古墳の内側と外側を隔てる結界の意味があるのではないか、と考えられているようである。

古墳内堤の北西隅で内濠に接した場所(N2トレンチ):
N2トレンチ円筒埴輪列(1)
 左の写真はN2トレンチで発掘された円筒埴輪列の大部分である。写真右側に内濠があり、円筒埴輪列は内堤上で内濠に近い場所、即ち、内堤側から見て内側円筒埴輪列になる。
N2トレンチ円筒埴輪列(2)
 左は内側円筒埴輪列が曲がった部分の写真である。写真でも表示されているように、この角の部分に円筒埴輪の上部がラッパ状になった朝顔形埴輪が1個発見されている。

 写真で左下に窪みのみが見られ、埴輪が欠けている場所があるが、これはこの部分にあった埴輪が盗掘された跡であろうと考えられているようである。この考え方は当たっているのだろうか?

 円筒埴輪列の隅部の折れ曲がった角度は外側円筒埴輪列の場合と同様約80度であると報告されている。
N2トレンチ円筒埴輪列(3)
 左の写真は内側円筒埴輪列の隅部分から東南の方向に伸びている円筒埴輪列である。
N2トレンチ円筒埴輪列(4)
 左の写真も内側円筒埴輪列の隅部分から東南の方向に伸びている円筒埴輪列であり、隅部分から埴輪列の伸びている方向に向かって撮影したものである。

 左の写真でもわかるように埴輪列は正確な直線上に配置されておらず、わずかに蛇行している。これは埴輪数個ごとに一作業単位として設置作業が行われたものと考えられている。

 内側円筒埴輪の底部径は外側円筒埴輪のそれよりも小さく30〜35cmであり、約5cmの間隔で配列されており、今回の発掘で内側円筒埴輪30個が認められている。今回の第九次(その2)発掘調査で発掘された円筒埴輪は外側16個、内側30個、合計46個となる。

 内堤の内縁部及び外縁部には約3700個の円筒埴輪が配置されていると推測されている。

 外側円筒埴輪列と内側円筒埴輪列の間の距離は内堤西側で約14.6m、内堤北側で15.2〜15.4mとされている。

内濠北西隅で内堤に接した場所(N3トレンチ):
N3トレンチ現地説明風景
 左の写真はN3トレンチでの発掘現場説明会風景である。写真でもわかるように当日の説明会参加者は想像していたより少なかった。
護岸列石(1)
 内濠北西隅で内堤に接した場所(N3トレンチ)から内堤側の護岸列石(左の写真)を発掘している。
コーナー部の護岸列石
 内濠の北西隅は緩やかに湾曲しているが、それに伴い護岸列石もコーナーを描いている。左の写真は列石のコーナー部分を撮影したもので、写真右上の『コーナーの列石』と書かれた標識から写真左下に向かって糸が引かれているのが見える。この糸に接している3個の石がコーナーの列石である。3個の石の上側に一寸した窪みが見られるが、この場所にもコーナー部の列石があったものと推測されている。
護岸列石(2)
 左は発掘された護岸列石をN3トレンチの西南端から東北の方向に向かって撮影した写真である。

 列石に用いられている石材は長辺20〜60cm、短辺10〜30cmの長めのものが多く、これまでに発掘されている内堤護岸列石よりも大きい石が用いられているという。

 コーナー列石には一辺約30cmの表面の平らな石が用いられており、他の列石とは異なった形状である。また、コーナー列石は他の列石に比べ直線的に配列されているが(直上の写真参照)、これは、内濠隅部の位置を表すため意図的に据えられたものと考えられている。

2005年12月17日新規収載
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Yukiyoshi Morimoto