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今城塚古墳発掘調査
(平成15年度、第七次)

今城塚古墳の所在地及びアクセス:

 今城塚古墳」のページを参照してください。

発掘調査が行われた場所など:
第七次発掘調査箇所
 左のコピー(原形地図は1998年高槻市教育委員会発行「史跡・今城塚古墳」より)は今城塚古墳の発掘調査場所の図である。

 外濠、内濠で表している部分は周濠で水の溜まっている場所であり、○印の中の数字は発掘調査の時期(次数)を表す。

 今回の第七次発掘調査が行われたのは後円部と前方部が接しているくびれ部分(北側、南側共に)、後円部の墳頂部、及び後円部東南端の内濠に近接した部分である。

 直上の図でFの部分が第七次の発掘調査場所である。

第七次発掘期間と現地説明会の様子など:
現地説明会風景(1)
 第七次発掘調査は2003年8月11日から開始され、現地説明会は2004年2月15日午前10時から行わた。当日の現地説明会には約4300人の古代史愛好家が訪れたという。

 左の写真は現地説明会の一情景である。
現地説明会風景(2)
 左の写真は後円部の東南端で内濠に近接した場所の発掘現場での説明会の一情景である。

くびれ部及び造出の発掘:
造出部くびれ部発掘現場
 左の写真は今回発掘が行われた古墳南側のくびれ部及び造出(つくりだし:古墳本体からつき出した祭祀の場)の発掘現場のほぼ全景である。

 発掘調査場所図で古墳南側
Fの場所であり、今回の発掘場所としては最も面積が大きい個所である。
南造出と護岸列石
 発掘された南造出及び護岸列石を左の写真に示す。

 今回の発掘調査で南造出の存在が確認されたが、これは既に存在が確認されている北造出とほぼ同じ形状をしているという。南北に造出が認められたことから、今城塚古墳は後期古墳であっても伝統的形態を継承していると考えられている。

 護岸列石は直上の写真でわかるように墳丘裾部から内濠に向かっての斜面に並べられている。
木製品と後円部の列石
 左の写真は後円部に近い部分の発掘現場である。写真のほぼ中央で横長に見える黒色の物体は墳丘裾部の泥の中から出土した木製品である。木製品は祭祀に使われたものと考えられているようである。

 写真中央から奥側に見える石群は後円部側で発掘された列石であるが、地震によって移動しているという。

後円部で内濠に近接した個所の発掘:
排水溝及び前庭部
 後円部東南端で内濠に近接した場所、2個所について発掘調査が行われた。

 2個所の内、南側の場所から石組みの排水溝が発見されたが、これが今回の調査結果で最も注目されている発見であろう。

 左の写真は排水溝の先端部分とその上部奥側にある前庭部を撮影したものである。

 排水溝の構造からこの奥側に横穴式の石室のある可能性が高いという。排水溝は石室に溜まった水を排出させるためのものと考えられている。

 前庭部は縦横共に約3.5mの大きさの平坦な部分で、石室の入り口部分に該当するという。
排水口近景
 左の写真は排水溝の先端部分の近影であり、その内法は約30cm四方である。排水溝の内部には土が堆積しており、堆積土は二層に分かれている。

 この排水溝の奥に横穴式石室の存在が想定されるが、横穴式石室は天皇陵としては最古ものであるという。
古墳主体部の想定図
 左のコピーは現地説明会の会場に展示されていた古墳主体部想定図であるが、排水溝は石棺が納められている玄室から羨道、前庭部を通り発掘された排水口まで通じているものと想定されているようである。

 何れにしても、これらは想定であり、確認のためには更なる発掘調査が必要であろう。
円筒埴輪と葺石の発掘現場
 左の写真は後円部東南端で内濠に近接した場所の2個所の内、北側の調査箇所である。堆積土に地滑りが見られるようであるが、円筒埴輪とテラス及び古墳の表面を覆う葺石が発掘確認された。
円筒埴輪の発掘状況
 左の写真は発掘された円筒埴輪の近影である。写真でわかるように、円筒埴輪は画面左側、即ち内濠側に傾いた状態で発掘されている。この傾きは地滑りが原因であるとされている。

墳頂部の発掘:
墳頂部の発掘(1)
 左の写真は墳頂部の発掘場所を西側から見たものである。

 墳頂部では古墳の表面を覆う葺石(左の写真)が確認されている。
墳頂部の発掘(2)
 左の写真は同じ発掘場所を北側から見たものである。

 この場所の堆積土の中から石棺の破片が見つかったとされているようであるが、現物を見ることができなかった。

 今後の調査にまたねばならないが、今回の発掘調査により、天皇陵最古の横穴式石室の存在する可能性が高まったとされている。

2004年2月29日新規収載
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Yukiyoshi Morimoto