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郡山宿本陣(椿の本陣)

郡山宿本陣 所在地及びアクセス:

 茨木市宿川原町

 JR東海道本線(JR京都線)「茨木」駅下車。駅北側の阪急バス乗り場から[90]系統「郡山団地」行き又は「郡山団地経由小野原」行き、又は[92]系統「阪急石橋」行き、又は[93]系統「郡山団地経由道祖本診療所前」行き、の何れかの阪急バスに乗車し「宿川原」で下車する。西南の方向に敷石で舗装された道を進むと徒歩2〜3分で道路右手に郡山宿本陣がある。行きと帰りでバス停の名称は同じ(宿川原)であるが場所が異なっているので注意を要する。
 バスの運行頻度は上記全系統を合わせ、8時〜18時の間について、平日:8時台は1時間に10便、9時〜16時台は1時間に8便、17時台は1時間に9便、18時台は1時間に12便。土曜日:8時台は1時間に10便、9時〜16時台は1時間に8便、17時台は1時間に9便、18時台は1時間に10便。日祝日:8時台は1時間に7便、9時〜18時台は1時間に8便。バスの便はかなり多い。
 阪急京都線「茨木市」駅からは乗り換えなしに「宿川原」を通るバスの便は少ないのでJRを利用するのが便利である。

見所など:
本陣全景
 昔の街道には大名とか、地位の高い人の宿泊する本陣が設けられていた。西国街道にも芥川、郡山など5ヶ所に本陣があったが、現在、その面影が残っているのがこの「郡山宿本陣」だけらしい。

 この「郡山宿本陣」ができたのは寛永12年(1635年)であり、明治はじめの廃藩まで約240年余続いていたとされている。
御成門
 直上の写真は西国街道から見た「郡山宿本陣」のほぼ全景である。当初の建物は享保3年(1718年)に焼失したようで、現存の建物は享保6年(1721年)に再建されたものであるという。

 西国街道に面した屋敷の西側には本陣の正門である「御成門
(おなりもん)がある(左の写真)。通常、この門は閉められているが、見学者のある場合にはここが開けられ、見学者の入り口になる。

 かつて、大名などが宿泊に利用する場合にはこの門に家紋入りの幔幕を張り提灯を飾っていたという。
椿の木
 「御成門」をくぐった直ぐ左側に「椿の木」が植えられている(左の写真)。

 この本陣の正式名は「摂津郡山本陣」であるが、通称名の「椿の本陣」と呼ばれるようになったのは、この椿の木があることに由来しているといわれている。

 ただ、この椿の木はどう見ても古木とは言えず、かなり若い木であるが、これは二代目の椿の木であるとされており、初代の木は一抱え以上の幹の木であったといわれているようで、五色の花を咲き分けていたという。

 この椿の木の北側(奥側)にかなり大きな椿の木があり、こちらの方どう見ても古木である。この木も「椿の本陣」の名前の由来に関わっているのであろうと思われる。

 「御成門」をくぐると、真っ直ぐ前に大名が休息、宿泊した「上段の間」のある建物がある。

 「上段の間」は一段高くなっており、床下からの危害を防ぐため畳が二重に敷かれていたといわれている。また、「上段の間」には和時計が置かれている。
宿帳
 「上段の間」のある建物の中には、本陣当時の遺品が数多く保存されている。それらの中には元禄9年(1696年)から明治3年(1870年)までの「宿帳」(左のコピー:茨木市教育委員会発行のパンフレットより)があり、それには中国地方や四国地方の諸大名の名前が記録されている。
関札
 宿帳の中には赤穂城主であった浅野内匠頭が刃傷事件をおこす前年の元禄13年(1700年)5月に宿泊した記録や、浅野家断絶の申し渡しのため赤穂へ赴いた脇坂淡路守も泊まった記録が残されている。また、慶応元年(1865年)には明治天皇が立ち寄ったらしい。

 本陣敷地の北西隅には「米藏」が建てられているが、ここは現在、展示館になっている。左の写真はここに展示されている「関札」といわれるものである。「関札」には宿泊、休憩している大名などの名前が書かれており、宿泊や休憩の当日は本陣の前などに置かれていたといわれている。
牢屋
 本陣敷地内東側には「納屋」が建てられており、その一角に「牢屋」の表示が付けられた格子組の柵が置かれている(左の写真)。

 これは搬送している囚人を宿泊させる際、本陣内に仮の牢獄を作って、ここに囚人を閉じこめておくための設備であるという。当然かもしれないがこのようなものまで準備されていた。
石碑
 「郡山宿本陣」国史跡に指定されており、左の写真に見られるような「石碑」が西国街道に面して建てられているが、単なる史料館ではない。子孫である梶家が所有し、現にここで生活しているという。

 このような史跡は国(又は地方自治体)が買い上げて、維持管理するのが本筋であろう。現在、維持管理に努力されている梶家には申し訳ないが、今は個人の所有物的になっているため、簡単に見学できるわけではない。このような史料は一般に広く公開することが重要であり、このことが結果として、史跡、遺品としての価値を高めることになるのではなかろうか。

 なお、この本陣を見学するためには、5人以上のグループで10日前までに電話(0726-43-4622)で9時〜17時の間に事前予約する必要がある。月・火曜日、国民の祝日及び年末・年始(12月20日〜1月10日)は休館になる。
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Yukiyoshi Morimoto