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西国第十九番
霊ゆう山 行願寺(革堂)
(れいゆうざん ぎょうがんじ(こうどう))
所在地及びアクセス:
行願寺所在地図
 京都市中京区寺町通竹屋町上ル行願寺門前町

 京阪電車「丸太町」駅下車。西南側の出口から地上に上がり、丸太町橋を渡り、丸太町通を西へ進む。河原町丸太町交差点を越え、寺町通と丸太町通の信号のある交差点を左折する(南の方向に曲がる)。左手に下御霊神社を見て、数十メートル進と寺町通沿い左手に「行願寺」の山門がある。
 京阪電車「丸太町」駅から徒歩約7分。

宗派:天台宗

本尊:千手観世音菩薩

開基:行円上人

縁起:
朱印
 出家前の行円は猟師であったが、射止めた牝鹿の腹の中にいた子鹿が生きているのを見て改心し、仏門に入ったと言い伝えられている。

 行円が比叡山の横川で修行したとされており、皮聖と呼ばれていたようであるが、これは自分が射止めた牝鹿の皮に経文を書き、それを寒暑に関係なく身につけていたことに由来しているといわれている。

 行円が寛弘元年(1004年)に一乗小川に堂を建てたのが行願寺の創始と伝えられているが、行願寺という正式名称よりも革堂とという名称の方が一般にはよく知られているのも、行円が鹿皮を身につけていたことによるといわれている。

 行願寺は何回かの火災にあったようで、現在の場所に移ってきたのは、宝永5年(1708年)の大火の後とされている。

見所など:
山門
 革堂は市街地の中にある寺で、それだけに境内は狭く建造物が建て込んでいる。「山門」(左の写真)も一般の家に挟まれた状態でこぢんまりしている。
本堂正面
 現存の「本堂」(左の写真)は規模の小さい寺に似合わず重厚な造りであり、文化12年(1815年)に建てられたものといわれている。

 「本堂」京都市の有形文化財に指定されている。

 「本堂」に安置されている本尊「千手観音像」は行円上人の作と伝えられており、秘仏になっているが年に一回開扉されるようである。

 行円上人の作であるのが真実とすれば、本尊は約千年もの長い間、何回もの火災の難をくぐり抜けてきたことになる。由緒あると思われるこの仏像が、何故か文化財の指定がないようである。
本堂正面大提灯
 「本堂」正面には「革堂観音」と書かれた「大提灯」(左の写真)が下がっており、印象的である。

 革堂の寺宝の一つに、毎年8月20日過ぎに公開される有名な「幽霊絵馬」がある。

 その昔、革堂に遊びに来ていた子守娘が浄土宗の御詠歌を子供に教えているのを見た法華信者が、娘を殺し土中に埋めた。娘の両親は革堂の千手観音に願をかけ、娘の死の真相を知る。両親は絵馬に若い女性の幽霊を描き奉納したという。これが「幽霊絵馬」である。

 「幽霊絵馬」は高さ1mたらず、幅30cm程の板で、その右下寄りに女の幽霊が描かれているが、江戸時代に書かれたとかで日時が経過している故か、幽霊自体ははっきりとは見えない。幽霊の絵の左側に手鏡が裏向けで付けられているが、こちらの方が何とも不気味である。

 『お詣り下さい』という僧の言葉に従い、幽霊絵馬の前に座り、手を合わせた。お詣りの後、僧は『幽霊は何か言ってました?』と聞いてきたので、ごく真面目に『何も言ってませんでした』と答えてしまった。僧はムッとしたような表情で『幽霊は、お詣りしていただき有り難うございました、と言ったでしょう』。僧に言われる前に、こちらが言うべきだった。
寿老人神堂
 「本堂」前の石畳を隔てて西北側に「寿老人神堂」(左の写真)が建てられている。

 「寿老人神堂」は京都七福神巡りの一つになっている。安置されている寿老人像は桃山時代の作とされ、秀吉が万人快楽のため、ここ行願寺に祀ったと伝えられているようである。
鐘楼
 「本堂」前の石畳を北の方向に進むと、境内の北端に「鐘楼」(左の写真)の建っているのが見える。

 この
「鐘楼」は文化元年(1804年)に造営されたといわれており、本堂と同様、京都市の有形文化財に指定されている。

 「鐘楼」の西側、境内の西北の隅に室町時代の作とされる「加茂大明神五輪塔」(直下左の写真)が建てられている。五輪塔の水輪がくり抜かれており、その穴の中に「加茂大明神」(直下右の写真)が祀られている。
加茂大明神五輪塔 加茂大明神
 行円上人が刻んだといわれている本尊は賀茂社のケヤキの木が用いられたと伝えられているが、ここに祀られている加茂大明神はその名称から本尊と何らかの関係があるものと思われる。

 「本堂」の南側にある「宝物館」には行円上人が着ていたという鹿皮の衣が納められており、毎年1月に2日間だけ公開しているようである。動物の皮を千年もの長い間どうやって無事に保存してきたのだろうか。それにしても、鹿皮の衣といい、幽霊絵馬といい、何とも不思議なものが寺宝として所蔵されている。

御詠歌:花を見ていまは望みも革堂の庭の千草も盛りなるらん
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Yukiyoshi Morimoto