ホーム > 西国三十三ヶ所一覧 > 岩間寺

西国第十二番
岩間山 正法寺(岩間寺)

(いわまさん しょうほうじ(いわまでら))
正法寺所在地図 所在地及びアクセス:

 滋賀県大津市石山内畑町

 JR琵琶湖線(東海道本線)石山駅から、京阪バス中千町経由新浜行き(昼間は1時間に2便)に乗車し中千町下車、徒歩約50分。
 毎月17日には石山駅から岩間寺まで快速直通バスの便がある(1日4便程度。多客時は増便あり)。


宗派:真言宗醍醐派

本尊:千手観世音菩薩
朱印
開基:泰澄大師

縁起:

 泰澄和尚が女帝元正天皇の厄年の病気を法力で平癒させた褒美として、養老6年(722年)に勅命により建立されたのがこの寺の創始と伝えられる。
 泰澄和尚は当地にあった桂の木より陀羅尼を感得し、自らこの木で千手観音像を刻み、元正天皇より賜った千手観音を胎内仏として込め、本尊としたといわれている。

 後述するように、この寺にまつわる伝説は数多い。


見所など:

 正法寺には山門はない。灯籠の並んだ参道を進むと、右手鐘楼の前には聖観音像と「仏足石」(直下の写真)がある。
正法寺仏足石
 解説板によると、この石の下にはぼけ封じ観音10ヶ寺の砂が埋めてあるという。この正法寺はぼけ封じ第4番札所である。

 この仏足石の上に乗って祈願すると10ヶ寺全てにお詣りしたのと同じ功徳があるらしいく、この上に乗って手を合わせている人を何人か見かけた。


 それにしても、金属板に刻まれている足跡からは、申し訳ないが霊験あらたかであるという雰囲気は感じられないのである。
本堂
 現存の「本堂」(左の写真)は天正5年(1577年)に再建されもので、寛永年間(江戸中期)に解体修理されたという。

 安置されている本尊の千手観音像は元正天皇の念持仏で高さ約15cmの金銅仏といわれ、秘仏であり直接拝観は出来ない。

 本尊は毎夜、厨子を抜け出し、苦しむ人々を救済するために駆けめぐり、汗びっしょりになって朝帰りするといわれており、「汗かき観音」の別名がある。
桂の御霊木
 岩間山は土地柄、雷が多く、かつては雷に悩まされていたという。泰澄大師は法力で雷を捕らえ戒めた。それ以来、落雷はなくなったといわれている。このことから、雷よけの観音としても信仰されている。

 泰澄和尚が桂の木で刻んだという仏像は現存していないが、その桂の切り株から芽生えたという木が、本堂の前ににあり、「御霊木」として保存されている(左の写真)。


 計算上はこの木の樹齢は1200年以上になっている筈であるが、到底そのような古木には見えない。枯れては芽を出し、それが枯れて、また芽を出す、といったことを繰り返して現状に至っているのであろう。泰澄大師がここに生えていた桂の木から陀羅尼を感得したというのが伝説であるにしても、樹齢に関してこのように考えるのが好意というものであろう。
芭蕉の池
 本堂に隣接して東側に小さな池がある(左の写真)。この池は「芭蕉の池」と呼ばれている。

 松尾芭蕉はこの寺の観音を信仰し、供養塔を建立したところ、忽ちにして霊験を蒙り、有名な句「古池や蛙飛び込む水の音」が世に出たとされている。この句にある「古池」がこの池であるという。


 これに類するお話は各地にあるが、山の中の古池という雰囲気は十分である。
不動堂
 芭蕉の池の東側に「不動堂」(左の写真)が建っている。

 不動堂は過去何回か建て直しされてきたようで、現存のものは平成5年に再建されたもので、見た目にも新しい。

 ここには国の
重要文化財に指定されている平安時代中期の木造不動明王と二童子立像が安置されているようであるが、直接拝観は出来ない。
ぼけ封じ祈願
 左の写真は1999年5月17日に撮影した「ぼけ封じ祈願、ほうろく灸」の情景である。毎年5月と9月の17日には、この祈願が行われるようである。

 頭に焙烙(ほうろく:素焼きの平たい土鍋)を乗せ、その上にもぐさを置いて火を点ける。
もぐさが大きいので、想像ではあるがかなり熱いに違いない。これでぼけ封じができれば少々の熱さは辛抱できるのであろう。

御詠歌:みなかみはいずくなるらん岩間寺岸うつ波は松風の音
西国三十三ヶ所一覧のページへ戻る このページの先頭へ戻る

Yuliyoshi Morimoto