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西国第十番
明星山 三室戸寺
(みょうじょうざん みむろとじ)


所在地及びアクセス:

 京都府宇治市菟道滋賀谷

 京阪電車宇治線「三室戸」駅下車。駅の直ぐ南側にある道路を東の方向へ道なりに進む。途中、三室戸寺への案内標識があるのでそれに従うと道に迷うことはない。
 駅から三室戸寺まで徒歩約20分。
 京阪電車宇治線「宇治」駅から三室戸寺まで4〜6月のツツジ、アジサイの咲く季節のみバスが運行されている(バスの始発はJR「宇治」駅)が、その他の季節にはバスが運行されていない。

宗派:
本山修験宗(別格本山)

本尊:千手観世音菩薩

開基:大安寺行表法師

縁起:
朱印
 光仁天皇が行幸した際、霊感を感じたので藤原犬養に命じ周辺を探させたところ、宇治川の支流である志津川上流の岩淵で黄金の仏像を発見したと伝えられている。この仏像を安置するため、宝亀元年(770年)に御室の一部を移し、奈良大安寺の行表法師を招き、御室戸寺としたのが寺の起源とされているが、智証大師円珍の開山という説もあるという。

 御室戸寺は後に三室戸寺に改称された。
 
 創建時は仏像が発見された場所の近くの山中に寺があったとされているが、度重なる火災に遭い、15世紀に現在の場所に移されたようである。

境内諸堂等配置略図:
境内諸堂配置略図

見所など:
三室戸寺への標識
 京阪三室戸駅から三室戸寺への道程中には左の写真のような案内標識が立てられている。この標識は石造りで耐久性があり立派なものである。標識に従って進めば道に迷うようなことはない。
寺名石碑
 寺の境内の入口に当たる場所に左の写真に見られるように寺名が彫られた石碑が建てられている。この石碑はかなり大きなもので、風格がある。
山門
 寺名石碑の建っている場所から約100m進むと「山門」(左の写真)がある。赤く派手に塗られているが、意外に簡素な造りである。

 「山門」をくぐると、参道右側下にアジサイ、ツツジなどが植えられている庭園が拡がっているのが見える。後述するが、このアジサイ庭園の存在が三室戸寺を「アジサイ寺」といわせる所以になっていると思われる。
参道の石段
 「山門」を通り、約100m奥に向かって進むと本堂前に上る石段(左の写真)の下に着く。

 石段を登らなくても、左手にある坂道を通って上ることもできるが、この石段を登るのが正しい参道のような気がする。

 石段横の『みむろどう』と書かれた灯籠(?)や、石段の直ぐ前にある『ようおまいり』と書かれた小さな石柱を見て石段を上がる。
狛蛇
 本堂前に上がる石段を上った場所に、「宇賀神の像」(左の写真)が置かれている。これは狛蛇と言える像で、財運、金運の蛇神で頭は翁、体は蛇で蓮に乗った姿となっている。

 三室戸寺には未公開の宇賀神の木像があると言われている。カニを助けた娘は蛇に嫁になるように迫られ、これを知ったカニがその蛇を退治したという。宇賀神の木像は娘が蛇の供養のために奉納した像であるという伝説がある。蛇の尾は金運、翁のひげには長寿の利益があるとされており、寺では参拝に来た人々に宇賀神の像に触れてもらうという目的から、木像を模写した石像を造り公開したのがこの狛蛇といわれている。
芭蕉句碑
 本堂前に上がる石段を上った場所、納経所の手前に芭蕉句碑(左の写真)が建てられている。

 この句碑には芭蕉の句『山吹や宇治の焙爐の匂ふとき』の文字が刻まれているようであるが、極めて判読しがたい状態になっている。これは風化が原因となっているものと思われる。
本堂
 宇賀神の石像の傍から、蓮を植えた大きな鉢が多数並んでいるのが見え、その奥に「本堂」(左の写真)が建っている。

 「本堂」は重層入母屋作りの重厚な建物で、文化2年(1805年)に再建されたものといわれており、京都府の文化財に指定されている。

 「本堂」に安置されている本尊「千手観世音菩薩」は光仁天皇が霊感を得て志津川の岩淵で感得した仏像であるという説もあるが、本尊は秘仏であり、この説の真偽はわからない。ただ、これは1200年以上も昔の伝説じみた話として受け取った方がいいかもしれない。
本堂に掲げられている奉納額の一部
 本堂外陣には多くの奉納額が掲げられている。左の写真はその一部であり、何れも時代を感じさせるものばかりである。

 なお、本堂に安置されている秘仏の本尊は平成21年(2009年)の秋に開帳されたようであるが、この開帳は84年目に当たるとされている。いずれにしても本尊は開帳されることが極めて希な秘仏である。
本堂前の狛兎
 「本堂」の前、向かって左側(西側)に御影石製のくの「福徳兎」(左の写真)と名付けられた兎の像(狛兎)が置かれている。

 仁徳天皇の弟である菟道稚郎子が宇治に来たときに兎が道案内したとの言い伝えがあり、宇治を本拠にしていたので宇治天皇とも称されていた。三室戸寺のあるこの地は昔から菟道(うじ)と呼ばれており、兎とこの地は縁があるようである。

 この狛兎は高さが約1.5mあり、かなり大きなもので、径約60cmの玉を抱いている。玉の中には卵形の石があり、これを立てると願いが叶うという。
本堂前の狛牛
 「本堂」の前、向かって右側(東側)に「宝勝牛」(左の写真)と名付けられた牛の像(狛牛)が置かれている。

 牛の口の中には石の玉が入っており、牛の口の中に手を入れ玉を転がし指で仏像に触れると勝ち運がつくという。玉は口の中で自由に動かせるが、外に取り出すことはできない。

 「宝勝牛」は勝運、ガン封じ、病気平癒、金運、健康に効果があるとされ、絵馬に願い書いて奉納すると霊験があるという。
横綱の手形
 「宝勝牛」の横には若乃花と貴乃花の手形(左の写真)が置かれている。この手形に自分の手を重ねている人を多く見る。横綱の手といえば可成り大きいものを想像するが、その手は思ったよりも大きくない。
阿弥陀堂
 「本堂」の東側に近接して建てられている堂が「阿弥陀堂」(左の写真)である。

 ここは日野有範郷の墓があった場所で、親鸞聖人の娘覚信尼が墓の上に阿弥陀堂を建て阿弥陀三尊を安置し祖父の菩提を弔ったという。阿弥陀三尊は現在、宝蔵庫に保管されている。

 「阿弥陀堂」の正面には『四十八願寺』と書かれた額が掲げられているが、これは有範卿が隠棲していた寺の額と伝えられている。
鐘楼
 「阿弥陀堂」の東側に「鐘楼」(左の写真)が建てられている。

 「鐘楼」は簡素な造りで、それだけにスッキリした感じがする。写真右奥に三重塔(後述)が見える。
三重塔
 「鐘楼」の東側、少し離れた場所に朱塗りの「三重塔」(左の写真)が建っている。

 この「三重塔」は江戸中期のものといわれており、明治43年(1910年)に兵庫県佐用郡三日月町の高蔵寺から移築したものであるとされている。
宝蔵庫
 「本堂」の西側に建てられている「宝蔵庫」(左の写真)には重要文化財に指定されている「木造釈迦如来立像」、「木造毘沙門天立像」、「木造阿弥陀如来及び両脇侍坐像」が所蔵されているというが、自由に拝観できるというのではなく、決められた日時のみ拝観出来るようである。

 「山門」から本堂下の石段までの参道の途中で右側に下る道があるがそれを進むと石庭と池泉庭園に着く(境内諸堂等配置略図参照)。

 直下の4枚の写真は秋の池泉庭園風景である。写真で見られるように季節には周囲の木々が紅葉する。
秋の庭園(1) 秋の庭園(2)
秋の庭園(3) 秋の庭園(4)

 「本堂」の前には蓮を植えた大きな鉢が沢山置かれている。蓮は6月中旬〜7月には花を咲かせる。直下の6枚の写真はその蓮の花である。
蓮の花(1) 蓮の花(2)
蓮の花(3) 蓮の花(4)
蓮の花(5) 蓮の花(6)

 既述したように当寺は「アジサイ寺」ともよばれているように、「山門」付近の参道の下には沢山のアジサイが植えられており、その数は一万株と言われている。6月の中旬には「アジサイ庭園」は色とりどりのアジサイの花で満開となる。

 直下の4枚の写真は「アジサイ庭園」の情景である。
アジサイ園(1) アジサイ園(2)
アジサイ園(3) アジサイ園(4)

 直下の6枚の写真はアジサイ庭園の中で見られる種々のアジサイの花である。
アジサイの花(1) アジサイの花(2)
アジサイの花(3) アジサイの花(4)
アジサイの花(5) アジサイの花(6)

 三室戸寺の「アジサイ庭園」にはハート形のアジサイの花が咲いている、ということで話題になった。ハート形のアジサイの花は数少ないが注意深く探すと見つけることができる。直下の2枚の写真はくのハート型をしたアジサイの花の例である。
アジサイの花(7) アジサイの花(8)

御詠歌:
夜もすがら月を三室戸わけゆけば宇治の川瀬に立つは白波

2014年10月14日最終更新

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