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ヴェルサイユ宮殿とルイ14世、ルイ16世

 フランス、パリの郊外にある「ヴェルサイユ宮殿と庭園」は、ユネスコ世界遺産にも登録されている有名な建物と庭園である。
宮殿建物
 ヨーロッパの昔のトイレ事情について、よく引き合いに出されるのが、「ヴェルサイユ宮殿にはトイレがなかった。貴婦人達はあの大きく拡がったスカートの中にオマルをしのばせていた」という見てきたような話である。

 これは必ずしも正しくないようで、少なくとも宮殿の主(国王)についてはトイレとして一定の場所が設けられていたようで、また、ほかにも幾つかのトイレあったというのが正しいらしい。しかし、トイレの数は必要量に比べ著しく少なく、貴族、貴婦人たちはオマルか又は椅子に取り付けられた便器に大小便をしていたという。

 また、当時の貴族や貴婦人たちは便意を催せば所を選ばず、ウンコやオシッコをするのが習慣になっていたらしい。

 ここを宮殿にしたのは、有名なルイ14世であるが、それまではルーブル宮殿が国王の住居であった。ルーブル宮殿は大小便まみれになって、住むことができなくなったため、宮殿をヴェルサイユに移したとされている。

 国王の部屋から見える場所にルイ14世の好みの噴水を配した広大な庭園(下の写真)が造られたが、後にこの場所はウンコやオシッコの格好の捨て場となるのである。
ヴェルサイユ宮殿庭園
 ルイ14世は1643年から72年間の永きにわたり国王として在位した。

 一番下の絵は1701年にイアサント・リゴーによって描かれたルイ14世の肖像画(ルーブル美術館蔵)である。この絵や、ヴェルサイユ宮殿の中庭にある乗馬姿の銅像、宮殿内の「戦争の間」にあるルイ14世が馬に乗り、敵を蹴散らす姿を描いたレリーフなどを見る限り、ルイ14世は太陽王といわれていたように、民衆の上に君臨する権威と傲慢さ、尊大さそして勇敢さを備えていたように思える。これが、史実から見たルイ14世の姿である。


 ところが、ルイ14世は消化器官に難があったらしく、何十年にわたり下痢に悩まされ、ひどいときには、日に十数回から二十回も便器に座っているような生活を送っていたらしい。従って、部下への命令も便器に座って行うことが多かったので、ルイ14世の周辺はウンコの臭いが満ちていたという。なんとも眉唾的な話であるが、こんな状態でよく生きながらえることができたものである。
ルイ14世肖像
 ウンコの臭いを消すために、盛んに香水が用いられていたようで、香水の発達を促す結果となった。フランスといえば香水という位、現在でもフランスの香水が有名であるが、ウンコの臭いを消すところにその原点があったのである。

 後世に史実として残されているルイ14世の姿は、実の姿ではなく、王としての権威を示すための飾られた虚像とみなすことができるのではないだろうか。戦いに出るときは影武者を使ったのかもしれない。


 何時の時代になっても、権威に対する「ごますり」が現れるのが普通である。ついには、国王に追従するあまり、ルイ14世の側近には、必要でもないのに便器に座ってウンコしながら仕事をするバカ者まで現れたらしい。

 何れにしても、多くの人々の出したウンコ、オシッコの類はすべて、広大な庭園に捨てられることになり、旧体制最後の国王となったルイ16世の時代には、中庭や通路にまでウンコであふれる結果になったという。

 そのためかどうかは知らないが、ルイ16世は自分の厨房の屋根裏に部屋を作り、大工仕事や化学実験の趣味に没頭した生活を送ったといわれている。ルイ16世はフランスの科学技術の発展に大きく寄与した人とされているが、
宮殿がウンコにまみれていなければ、そのような業績をあげることなく平凡に暮らしていたかもしれない。

 現在の「ヴェルサイユ宮殿、庭園」は勿論当時の面影を全く残しておらず、綺麗に整備されており、ウンコにまみれていた当時の状況を想像することすらできない。というよりも、ウンコまみれのヴェルサイユ宮殿や庭園など全くの作り話ではなかろうか、とさえ思える。
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Yukiyoshi Morimoto