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何故、これが「ホト」なのだろうか

 河内地方で弥生時代最大の遺跡「瓜生堂遺跡」から、男性と女性の性器を模した石製品が発掘されたというマスコミ報道があり、1999年2月27日に現地説明会が開催された。
男性器を模した石
 男性器を模したもの、女性器を模したものそれぞれ単独に出土した例はあるが、両者がセットで発見されたのは初めてであり、大変珍しく貴重な資料であるという。

 右三枚の写真の内、上の写真は男性器を模した石、中の写真は女性器を模した石、下の写真は両石の出土状況を復元したものである。

 男性器を模したといわれている石は、形状は確かに似ているが、それよりもむしろ動物の足先に似ているように見える。まあこれは男性器をかたどった石と言われれば何となく納得できる雰囲気を持っている。

 女性器を模したといわれる石は中が僅かに窪んだ皿状の石である。これについては「ホト」というネーミングがなされているが、「ホト」というのは女性器の古代的表現である。
女性器を模した石
 ただ、このホト形石について、貧弱ではあるが私の持てる想像力をフルに働かせても「ホト」には見えないのである。何故、この石を「ホト形石」としたのか、の根拠について出土状態と形状から次のような説明がなされているのである。

 その一つは
両石の出土状態である。一番下の写真にあるように、ホト形石はほぼ垂直に立った状態で、また、両石は約40cm離れた位置で互いに向き合う形で出土した。

 上記説明の内、
「互いに向き合う形」が重要で、かつ、問題でもある。新聞紙上でも「互いに向き合う形で出土」と記載されている。ところが、実際の出土状態は写真でもわかるように「向き合う状態」ではなく、女性は男性の背後にいるのである。何故このように表現上の誤りが生じたのであろうか。

 「向き合っている状態」で、両石が更に接近した位置で出土していれば、皿状の石は「ホト」を模したものであると言う説に対し納得性があるが、実際の出土状態はそうではない。

 もう一つはその
形状である。問題は皿状の石であるが、僅かであるが窪んでいるところが「ホト」を表現しているという。
石の発掘時の配置
 これは上述したように、すごい想像力に基づいた発想であると考える。

 弥生時代にも「ホト」をリアルに表現することをためらうような倫理的制約があったのであろうか。昔話や神話に見られるように、古代では性について非常におおらかであったと考えられるから、リアルな表現に制約がかかっていたとは思えないのである。

 素人の考えを言わせてもらえば、出土状態の説明や形状の説明からみて、
結論が先にあったような気がしてならない。
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Yukiyoshi Morimoto