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トイレは文化財か? ・・・東福寺の東司・・・

東福寺東司外観  紅葉の名所として有名な京都の東福寺には重要文化財に指定されている東司がある。

 禅寺では一般にトイレのことを東司(「とうす」と読むが、他に「とす」、「とうじ」、「とんす」、「とっす」等、種々な読み方があるらしい)と表現しているようである。


 「東司」の語源は何処にあるのかについては、ここで詳細に考察するつもりはない。ただ、一般に言われているような「寺の東側に設けられているから」というような実に安易な理由付けだけはしたくない。

 一番上の写真は、重要文化財に指定されている東福寺の東司の外観である。本堂の西南側に建てられているかなり大きな建物である。
東福寺東司内部
 東司は室町時代(15世紀-16世紀前期)の建築であり、現在は勿論使用されていない。

 入り口は写真に写っているように一ヶ所であり、ここには鍵がかけられていて、残念ながら中に入って見学することは出来なかった。ただ、普通の大人がかろうじて中をみることができるような高さの位置に無双窓が付けられており、狭い隙間から内部の観察が可能である。

 下側二枚の写真は無双窓の隙間から内部を撮影したものである。

 入り口から真っ直ぐに広い通路があり、通路の両側に写真に写っているような瓶(かめ)が入り口から奥側に向かって数多く埋め込まれている。
東福寺東司内部
 中に入れなかったので正確ではないが、瓶の径は30cm程度、深さは数10cm程、瓶同士の間隔は1m程度である。この瓶が便槽になっているのであるが、瓶と瓶の間には仕切はない。

 かつて、ここで多くの僧侶が並んでウンコしていたのであろう。ここは僧侶の息抜きの場であったという説があるが、実際は自分や他人のウンコする姿に頓着しない超世俗的精神を培う修行の場だったと考えたい。

 文化財とはなにか? 「文化活動の客観的所産としての諸事情又は諸事物で文化価値を有するもの」とする広辞苑の表現は、かえって難解にしてしまっているが、要するに、僧侶がウンコすることは文化活動であり、その場所に文化価値がある、というのだろうか?

 この東司に仕切や扉がないが故に、僧侶の修行の場であり、精神的生活にかかわる成果をもたらした、という理解に立てば、トイレといえども文化財としての価値を認めなければならないだろう。

 ここを訪れたときは、僧侶がウンコしながら、ある者は本を読み、また、ある者は瞑想し、お経を唱え超世俗的精神修行を行っている姿を思い浮かべ、瞑目合掌したい。
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Yukiyoshi Morimoto