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| 大阪の地下鉄御堂筋線「淀屋橋」駅で下車し、南側11番出口から地上に上がると「伏見町」の通りに出る。東に向かって10m程歩くと、最初の交差点がある。 |
![]() その交差点から南側を見ると、左の写真のような光景が展開している。 向かって左側手前に、今にも崩れそうな古い建物が見える。芝川ビルという名前らしいが、外側から見える位置にビル名の表示をみることができない。名前の部分が崩れ落ちたのかも知れない。その南側、写真で中国国際商業銀行の看板のあるビルが新芝川ビルで、正面入口は「伏見町」の南側にある「道修町(どしょうまち)」の通りに面している。 「芝川ビル」と「新芝川ビル」の間に一寸したスペースがある。 このスペースの中、道路から1-2mほど奥まったところに下の写真にあるような緑色の鳥居の書かれた不思議な標識が設置されていた(何故か2005年の時点では撤去されており、見ることはできない)。 一見すると町でよく見かける「立ち小便禁止のマーク」に類似しているので、殆どの人はこれを立ち小便禁止の標識と理解していたようであるが、よく観察すると、普通に見かける立ち小便禁止のマークとはかなりの部分で異なっていた。 以下、記述を現在形で表現する。 |
![]() (1) 立ち小便禁止のマークの鳥居は一般には赤い色で壁面に直接書かれているが、この鳥居は蛍光物質を含む緑色のビニール様テープで作られ、B4版程度の板に貼り付けられており、板は針金様のもので樋に結びつけられている。 (2) 一般には鳥居は地上すれすれ、又は地上数十センチまでの低い位置に書かれているが、ここのものは地上約1.5mの位置に設置されている。 (3) 「立ち小便禁止」の文字は書かれておらず、写真でわかるように「美しくしましょう」と書かれている。 この付近はオフィス街であるが、昼間はサラリーマン向けの食堂、夜は飲み屋に変身する小さな店が点在している。そのためか、夜になると一杯機嫌のサラリーマンがそこここで立ち小便しているようである。私の知人でこの近くの某製薬会社の社員であるS氏によれば、オフィスの前などに植えられている小さな植木などは立ち小便のためか、枯れるので、しばしば植え替える必要がある、と管理人が嘆いているという。 S氏も緑色の鳥居の看板は立ち小便禁止の標識と理解しているようで、彼が新芝川ビルにある屋内駐車場の管理人から聞いた話では、この標識のある場所は立ち小便には格好の場所であるため、このような標識がつけられたが、あえて鳥居の色を赤くするまでのことはなかろう。ということであった。 |
写真でもわかるが、コンクリートの床面が緑色に変色している。これは、立ち小便が行われた形跡なのであろうか? 何れにしても、鳥居の色が緑色というのは実によくできている。即ち: (1) 暗いところでの人間の目は緑色に対して最も感度がよい。しかもこの鳥居は蛍光物質入りのテープで作られているので、夜はよく目立つと思われる。 (2) 緑色は赤色よりも清潔なイメージをもっている。 この標識を作った人は、上記二点を理解した上で作ったのであれば、見事という他はない。 何故、看板に「美しくしましょう」などという極めて漠然とした言葉を書いたのであろうか? 実はここに看板設置者の意図があるように思われるのである。即ち、その意図は: (1) 鳥居を書くことにより、特に立ち小便禁止の文字を書かなくても、その意図を伝えることができる。言い方を替えれば、鳥居だけで立ち小便禁止の意図表現は十分であると考えた。 (2) この場所はゴミの集積場になっているようなので、「美しくしましょう」と書くことにより、ゴミの整理に留意し、散らかさないよう注意喚起する意味を持たすことができると考えた。 以上から、この看板は、一つで二つの意味を持たせた標識と考えられる。一見効率的であるように思えるが、「二兎を追うものは一兎をも得ず」と言うこともある。赤い鳥居で「立ち小便禁止」と明記された標識に比べ、この看板は「立ち小便禁止」という側面から見て、どれだけの効果が期待できるのであろうか。 なお、看板の製作意図については、設置者(多分、ビルのオーナーであろう)に聞くのが確かであろうが、聞けば上記のような推理ができなくなってしまう。推理することの楽しみを奪ってはならない。 |
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Yukiyoshi Morimoto