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「おなら」の告発は名誉毀損になるか

 2002年4月下旬のあるTV番組で表記の問題が採り上げられていた。

 ことの顛末をTV番組の放映内容から再現すると次の通りである。

 ある会社に勤めるA男君は同じ会社に勤めるB子さんとつき合っていた。昼休みが終わって二人は職場に戻るためエレベーターに乗ったのであるが、エレベーターはかなり混んでいた。A男君が乗り込んだとき、続いて同じ会社に勤めるC子さんが乗ってきたのである。C子さんはその会社内でマドンナと言われているほどの美人で、男性社員に絶大な人気があり、本人もそのことを意識している節があった。エレベーター内ではA男君はC子さんの背後に近接して立っている状態で、B子さんはやや離れた位置に居た。
 扉が閉まりエレベーターが動き出したとき、「プー。ブリブリ」と何とも派手な音がして、特有の臭気が立ちこめたのである。音と臭気の発生元はなんとマドンナC子さんだったのであるが、この真実を知る者は、発生元のC子さんとC子さんの直ぐ背後にいたA男君だけだった。
 ただ、A男君とC子さんを除くエレベーター内の人達は、音と臭気の発生元はまさかマドンナとは想像だにせず、一斉に嫌な顔でA男君を見つめたのである。勿論、B子さんも例外ではなかった。A男君はB子さんの手前もあり、無実を晴らさんがために、「今のは、僕じゃないですよ。C子さんです」と言ってしまったのである。
 以来、C子さんに対する社内の見る目が変わってしまったのは想像に難くない。
 その後、C子さんは自分の名誉がA男君によって傷つけられたとして提訴した。
OL

 この場合、名誉毀損罪が成立するか、否か、というのである。

 TV番組では『名誉毀損罪が成立する場合がある』という若干曖昧な結論であったが、番組の中である弁護士は、
『C子さんが社内でマドンナと呼ばれていた立場から考え、今回の件による名誉失墜は大きいと言わざるを得ない。従って、名誉毀損罪が成立する』と述べていた。

 以上がTV番組の内容概略である。

 上記の名誉毀損罪の成立要件はかなりの問題点をはらんでいるように思える。即ち、言い方を変えれば、もしC子さんが美人でなければ、名誉の失墜は大きくないということを暗に示唆しているように思える。個人の尊厳は美人であるか否かによって決めてはならないのは当然である。

 然からば、
A男君は「今のは僕じゃない。C子さんです」と言ったのが問題だったのだろうか。A男君は真実を述べたのであって、自己の冤罪を晴らすための行為であり、いわば正当防衛であって、全く責められるべき立場ではない。

 世の中には、変なフェミニストがおり、「A男君はC子さんを庇うべきであり、そんなことを言うべきではなかった」、と言う人が案外多いが、これは明らかに間違っている。真実は如何なる事由があろうとも覆い隠すべきではない。
A男君

 そもそも健康な人ならば尻からガスが出るのは正常な生理現象なのである。正常な生理現象は法廷で論ずべき対象にはならない筈である。このような事象について告訴することは現実にはあり得るかも知れないが、自己防衛のため真実を述べた事が名誉毀損罪に問われるというのはどう考えてもおかしいのではなかろうか。
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Yukiyoshi Morimoto