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コンドームの品質検査の不思議

 1998年4月10日の新聞に次のような要旨の記事が出ていた。

 「A社発売のコンドームに国の規定を上回る不良品が発見された。同社は出荷済みの製品約694万個を自主回収すると発表した。
 神奈川県が実施した水漏れ検査により、315個のうち3個までという厚生省(現厚生労働省)の適合規定に対し、6個から水がにじみ出す程度の穴が見つかったことによる。」


 (注:新聞には会社名が記載されていたが、ここでは都合によりA社とする)
コンドーム
 上の記事の内容はよく考えると何となく納得しがたいのである。

 315個というサンプル数に対し、厚生省(現厚生労働省)の規格(医療用具の公定書に収載されている規格と考えられる)では、水漏れの認められる不良品は3個以下ならば適合であるという。このことから考え、規格の詳細はわからないが、「不良率は1%以下」と決められているものと推測される。

 言い方を換えれば、100個の内、1個は不良品があっても良いというのである。メーカーにあまく、消費者に不利な規格である。

 使用目的から考え、漏れがあってはならないし、漏れのあるのを前提として購入する人はおそらく居ないであろう。特に夫婦ではない男女やエイズ予防の観点から、漏れの有無は極めて重要である
男女
 こういうものの規格は、「all-or-nothing」でなければならないと考える。即ち、製品について全数検査することは実際上できないから、母数に応じた妥当なサンプル数を決めて採取し、採取サンプル全てについて検査した結果、漏れを認めない、と設定すべきと思われる。

 厚生省(現厚生労働省)は何故、漏れのある不良品が入っている可能性のある製品の販売を認めているのだろうか。

 現今の素材、製造技術から見て、ピンホール皆無の製品を作ることは難しいことではないと考えられる。

 最近は、いわゆる少子化現象が進んでいる。これは国家の存続上好ましいことではない。コンドームの規格を検討した組織は少子化現象のおこることを予測し、その歯止めのことまで考えて、このような規格を設定したのだろうか。・・・そこまで深慮遠謀があったとは考えられないが・・・。

 それとも他に理由があってメーカーにあまい規格になってしまったのか・・・。


 新聞記事は品質管理上かなり興味のある問題を提起している。コンドームの規格設定に関する事情を是非知りたいものである。
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Yukiyoshi Morimoto