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なぜ学校のトイレでウンコしないのか

フォーラムのイメージ  1998年夏に日本トイレ協会主催で「学校トイレ文化フォーラム」が開催された。ここで、「子供は学校でウンコしたがらないが、この理由は何か」という問題が取り上げられた。

 学校のトイレではウンコしたくない、ということは我々誰でも経験したことがあるのではなかろうか。

 学校又は帰宅途中でウンコを漏らしてしまった、又は、誰かがウンコを漏らしたのを見た、という人がかなり多いのではなかろうか。これまでしても学校のトイレでウンコしたがらないのは何故だろうか。

 1998年9月28日の毎日新聞には、この「学校トイレ文化フォーラム」の結果に関し、当事者の意見、考察を要約して、以下のような意味のことが記載されている。

 文部省の役人は「今は世の中が綺麗になったが、学校のトイレだけが古くて汚いままだから。・・・子供たちは議論の中でどんな綺麗なトイレでも、綺麗に使わなければ同じだということに自分たちで気づいた」といっている。

 日本トイレ協会の事務局は
「学校の生活の場としての設備整備はないがしろで、トイレなどは古くて汚いまま。トイレ整備を通してトイレに行きたいと平気で言えるような人間関係を作ることが大事」といっている。

 毎日新聞は、以上のフォーラム当事者の話の他に、フォーラムの結果に関して次のような疑問を投げかけている。

 学校でウンコしたくないのは、学校の便所が汚いとか臭いとかの理由ではない。神奈川大学生を対象とした「記憶によるトイレ調査」によると、「人に見られると恥ずかしい」、「友達に冷やかされた」というのが主な理由であるという調査結果がある。

 このフォーラムで子供たちは本音を語ったのだろうか?
洋式便器
 私は毎日新聞の呈している疑問に同感である。

 フォーラム当事者の言っていることはあまりにも綺麗すぎて本質に迫っていない。このような場所(フォーラム)で子供は本音を言わないのが普通である。聞いていて気持ちがよく、大人の喜ぶような建前を言うべきだ、ということを今の子供は十分にわきまえている。

 1999年5月下旬か6月上旬の放送で日本トイレ協会の人が出演し、相変わらず、子供が学校のトイレでウンコしない理由は学校のトイレが汚いからである、トイレを綺麗にしたら、トイレが子供たちの憩いの場になった、というような意味のことを言っていた。

 日本トイレ協会の人としてはこのような発言になるのはわかるとしても、本当にそう思っているのだとすれば、ことの本質を把握していないものと思われる。

 1999年6月14日に放映されたTV番組でも、この問題が取り上げられていたが、学校のトイレでウンコするのは恥ずかしいから、というのが理由であった。

 また、1999年6月10日の夜のラジオ番組で、やはりこの問題が取り上げられていた。男性の場合であるが、トイレに入っているのがわかると、「扉をドンドン叩いた」、「扉の上の隙間からホースを入れ中へ放水した」、「掃除用具を扉の上から中に投げ入れた」、「踏み台を持ってきて扉によじ登り、扉の上から中を見て歓声を上げた」など、極めて具体的な体験談が語られていた。

 更に、2003年2月のある新聞にもこの問題が取りあげられ、同年2月14日の朝のTV番組で放映されていたが、37%の子供が学校でウンコしないと答えており、その理由は「恥ずかしい」、「皆にからかわれる」などであったという。
学校のイメージ
 これらはイジメに通じるものであるが、私の経験と調査からも、学校のトイレでウンコすると、「ウンコ」というあだ名を付けられたり、上記の具体的な体験談に近いようなことが起こっていたし、起こっているのである。

 学校のトイレでウンコしないのは恥ずかしいからということもあろうが、むしろイジメに遭いたくないということの方が重要であろう。そういえば、イジメの主犯であるボスが学校のトイレでウンコしている姿を見たことがない。

 この問題は今に始まったものではなく、何十年もの昔からあったのであるが、イジメの具体的な問題として提起されてこなかった。最近、学校でのイジメが問題になっているのと軌を一にして、なぜ学校のトイレでウンコしないのかという問題が取り上げられているのは興味深い。イジメ現象をより多角的に取り上げなければ、「なぜ学校のトイレでウンコしないのか」という問題は解決しない。
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Yukiyoshi Morimoto